天高く、秋の雲「巻雲」広がる下に、「かなとこ巻雲」。
雲の形を見ていると、「秋めいてきたなあ」と思いますね。
秋を感じさせる雲として「うろこ雲」がよく知られていますが、この写真のような、薄く筋を引いた雲の名前はなんというのか、調べてみました。

巻雲 2016.09.05 東京都練馬区
すじ雲こと「巻雲」はリアルに高いところにある「上層雲」
秋によく見られる、薄く刷毛ではいたような筋状の雲は、「巻雲(けんうん)」と呼ぶそうです。
その形状によって、「毛状巻雲」「房状巻雲」「かぎ状巻雲」「濃密巻雲」などと呼び名があるようです。結構見た目そのまんまなところが、親近感のある呼び名ですね。
絹のような光沢があることから「絹雲(けんうん)」とも。また、俗称で「すじ雲」「はね雲」「しらす雲」などとも呼ばれるようです。
上空5〜13kmの高さによく現れる、気象用語で「上層雲」と呼ばれる雲です。ちなみに、夏におなじみの積乱雲(入道雲)は、地表から2kmまでの高さにある「下層雲」で、成長すると頂が10kmの高さにまで成長するとのこと。
この雲が存在する高さの違いが見てわかるため、秋の雲を見ると、「高いところにある」と実感、つまり「天高く」感じるというわけですね。
「うろこ雲」と呼ばれる巻積雲(けんせきうん)も、上層雲です。上層雲は、氷の粒でできているそうです。
「飛行機雲」はジェット機が飛ぶ高度1万mで発生する
たまたまこの写真の中央に、いま引かれたばかりの飛行機雲が写っています。
飛行機雲は、飛行機の航跡にできるれっきとした雲。ジェット機の飛ぶ高度は1万mとのことです。
写真でもすじ雲を飛行機雲が貫いているように見えますが、実際、どちらの雲も高さは近いようですね。
積乱雲の頭が流れると「かなとこ巻雲」になる
ところで、写真の下の方にもうひとつ、おもしろい雲が写っているのに気づきましたか?
「おや、入道雲だ。あっちの方で雨が降っているのかな?」と、東京アメッシュを見たのですが、雨雲は見当たりません。
よく見てみると、積乱雲の頭は平たくなっていて、なぜか横に溶けたように流れていました。
これは、「かなとこ巻雲」といわれる雲のようです。
積乱雲が最盛期を過ぎて衰弱期に入ると、雲の頂が対流圏と成層圏の境目でおさえられ、雲が風下側に流れ出して、このようなかたちになるのだそうです。
すじ雲(巻雲)の「すじ」も、氷の粒が落下しながら雲を作り、それが風に流れてあのような「すじ」になるとのこと。上の写真でいうと、風は左側から右側に大きく流れているわけですね。
飛行機雲を作ったジェット機は、右側から左側へ向かって飛んでいくのを見ています。きっと向かい風だったはずです。
何気なく「きれいだなあ」と撮った秋の雲ですが、この一瞬の中に、いろんなドラマや情報が入っているなあと思いました。
空はなかなかドラマチックです。だから見ていて飽きないんですね。

夕暮れの雲 2016.09.05 東京都練馬区
【参考】
・雲の写真集 - 津地方気象台
・お天気豆知識 巻雲 - バイオウェザーサービス(いであ)
・飛行機雲は、なぜできるのか? - JAPAN AIRLINES
・衛星画像の特徴的パターン かなとこ巻雲(Anvil Cirrus) - 気象衛星センター
【こちらもあわせてご覧ください】
・豪雨と晴れ間が半分ずつの空。どちら側を見るかで結果は変わる。
・夕日が、四角でした。
・皆既月蝕でした。
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