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2016-12-30

自分でも新たな発見がいっぱい。セミナー「50年後に残る家族文集のススメ」

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2016年12月25日(日)に、自分史フェスティバル2016in渋谷で行ったセミナー「50年後に残る家族文集のススメ」、無事終了しました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

30代〜60代の来場者と自分史活用アドバイザー約15名に、60歳から30年間で12冊の家族文集・自分史本を作った祖父の話をさせていただきました。

自分史フェスティバル2016in渋谷のほかのセミナーの講師は、みなさん経験も豊富なベテランの方々。主催者から声をかけていただいて、「私などが」とドキドキしましたが、貴重な機会なので、お時間をいただくことにしました。

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●写真提供/自分史フェスティバル2016 in 渋谷

祖父のことを、話したかった

「自分史を作るといいですよ」「こんなふうに作りましょう」という話はあちこちで聞くのですが、実際に作った話、どんなふうに作ったのかという体験談は、なかなか聞く機会がありません。

明治37年生まれの私の祖父は、愛媛県の国語の教師。そして私が生まれる前から「本を作るおじいちゃん」でした。60歳になって、5人の子どもたちが手元を離れていくことをきっかけに、家族の文集「としつき」を、5年に1度作りはじめました。

今も祖父の本には、私が、小学校2年生で書いた作文、高校の宿題の読書レポート、初めて行った海外から送った手紙、最初に入った就職先の社内報に載せた原稿が掲載されています。自分でさえ「こんなの、書いてたんだ……?」という内容で、自分の記録としても思い出ぶかいものがあります。

祖父母が書き残した本が残っているということがどんな感覚なのか。過去の文章から何を感じるのか。それを伝えたいという気持ちがありました。

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明治に生まれ昭和を生きた祖父の人生

祖父の家族文集・自分史本の事例をお話しするために、今回祖父の本を改めて読み返したのですが、子どもの頃にはよくわからなかったことが、改めて胸にせまります。

日露戦争が開戦した明治37年(1904)に生まれ、世界恐慌が起こった昭和4年(1929)に結婚した、当時25歳の祖父母夫婦。小さな子どもを育てながら、小学校の教員として、昭和16年(1941)の大東亜戦争開戦、そして昭和20年(1945)8月15日の終戦を経験します。

そして東京オリンピックが開催された昭和39年(1964)、結婚生活35年を迎え、還暦(60歳)をきっかけとして、家族文集を作りはじめました。本の中で、戦争が終わってからの時代を「敗戦直後の困苦のきわみ」と振り返っています。

子ども5人、孫11人という大家族に恵まれた祖父母ですが、改めて本を読みながらその人生を知ると、同じ年齢のときに自分がしていたこと考えていたこととの違い、そして立ち向かうべき世の中の大変さの質が、時代によって違ってきていることなどを感じます。

それでいて、時代はへだたっているものの、「自分はこれが正しい、こう生きたいと思うからそうする」という頑固さ、マジメさはすごいなと思うし、自分の中にも似たところがちょっとあることを思い、くすっと笑えたりもします。

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文章はくっきりと時を越えて残る!

今回、文章というものが鮮明に時を越えて伝わるものだと改めて感じました。

写真も思い出を伝えてくれますが、思いや感じたことというのは、時が経つと記憶がぼやけ、印象が薄れるものです。でも、文章にしておけば、時が経ってもくっきりと伝わります。

「おじいちゃん」が最初の家族文集を出してから50年が経っていますが、その中に収められた文章からは、当時の家族の様子がいきいきと伝わります。

60歳という、私の思い出よりは「若々しい」おじいちゃんが「還暦を迎えたけれど、年寄り扱いなんかされるのなんてまっぴら」と鼻息の荒い様子や、結婚前の母が、ピアノが習いたくて学校の音楽室に通いつめた子ども時代の体験談などは、ついつい読み込んでしまいます。

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「家族文集」を作るためのきっかけづくりをしたい

祖父が残してくれた本を見て、私自身が「よかった」と思う。それを伝えて、「家族文集」を作ることを、今の人にも提案したいと思っています。

今は核家族化が進んで、祖父のように大家族で文集を作ることは難しいでしょうけれど、逆に今ならではの「家族文集」の残し方があるはずです。

誰もがスマホで日々撮っている写真。
SNSで毎日のように書いている言葉。
節目に家族が集まって話をする機会。

素材やチャンスは、いろんなところにあります。
家族のひとつの時代を切り取り、伝えたい思いやメッセージをくっきりと残せるのが、家族文集です。

家族の誰かが「作ろうよ」といったことがきっかけで、これから残る「家族の記録」が生まれるかもしれません。

今回話をして、そうした体験やきっかけづくりができる「ワークショップ」を、機会があったら、ぜひやりたいと思いました。

文章でライティング以外の仕事がしたいと思ってきましたが、来る2017年、これをきっかけに、また新たな出会いや機会があれば、うれしいと思っています。

 

【こちらもあわせてご覧ください】
〝おじいちゃん〟の本を50年後に読み返せば、アラフィフの孫がしみじみする。
家族の「としつき」を残しましょう。12月25日(日)「50年後に残る家族文集のススメ」。
50年前に、60歳をきっかけに祖父が作った家族本は宝物。(自分史)

 

Event Data

自分史フェスティバル(ローカル版)

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http://www.jibun-shi-festival.net/

「自分史フェスティバル2016」は、自分史に興味のある方がさまざまな知識・体験を得られるイベントとして、8月から9月にかけて、福島県南相馬市、江戸東京博物館、日本橋三越本店の3会場で開催されました。

「自分史フェスティバル2016 in 渋谷」は、その成果を全国各地域で展開する「全国キャラバン」のひとつであり、皮切りです。

年明けからは、2017年3月までに各地で地域イベントが計画されています。

2017年1月15日(日)静岡県浜松市
2017年3月5日(日)大阪府大阪市

地元の自分史活用アドバイザーが集まって、セミナーやワークショップを行います。自分史の相談相手は、やはり身近な地元で見つけたいもの。気になったらぜひ会場に足を運んで、興味のあるセミナーやワークショップに参加してください。自分史について理解を深めたり、さまざまなサービスを知ったり、相談・協力してほしい自分史活用アドバイザーと出会うことができるチャンスです!

自分史を作ることに興味がある人、また自分史活用アドバイザーや自分史業界に興味がある方におすすめします。

くわしくは「自分史フェスティバル」公式サイトでご確認ください。

 


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このブログを書いている人
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宮野真有(みやの・まゆ)

東京都練馬区在住。フリーランスのフォトライター。

「楽しんで」「長く続けられる」「自分らしさが発揮できる」文章を大切に、教える・聞く・書くなどの文章関連のサービスを個人向けに行っています。

またブログでは、「植物」×「写真」×「文章」の3つをキーワードに、ベランダガーデニングや公園散歩の楽しみを発信しています。

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