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2016-01-26

50年前に、60歳をきっかけに祖父が作った家族本は宝物。(自分史)

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20年間ライターとして仕事をしてきた私が、自分史に関わろうと思ったきっかけは、祖父の存在です。

「60歳をきっかけに考える『自分史・家族史』入門」という講座を考えたのも、祖父が残した「自分史本」「家族本」を読んだ孫としての体験を伝えたいからでした。

祖父が作った家族本「としつき」6冊

祖父が作った家族本「としつき」6冊

 

祖父が還暦をきっかけに家族本を制作

約20年前になくなった母方の祖父は、中学校の教員として定年まで勤め上げた人でした。

60歳となって定年退職し、昭和40年(1965年)に還暦を迎えたとき、5人の子どもは結婚してそれぞれに子育てに忙しく、離ればなれになりはじめたところでした。

「時間にまかせてこのまま、家族は散り散りになっていくんだろうなあ」と思った祖父が、家族の心をつなぐよすがにしたいと考え、60歳の節目に作った家族本が「としつき」という小冊子です。

中身は、祖父が自ら書いた自分自身のこと、家族のこれまでのことや、親となった子どもたちに伝えたいことが約7割。残り3割が、妻や子ども、孫たちに書かせた原稿です。

これをきっかけに、祖父は5年に一度の割合で、その後も家族本を自費出版。さらにパートナーの祖母が亡くなったのを契機に、それらの集大成のハードカバーの単行本の自分史本・家族史本を複数冊出すにいたりました。

 

本のおかげで今も祖父と会える

私が生まれたときから、祖父は「本を出し、家族に原稿を書かせる、ちょっと面倒くさいおじいちゃん」でした。作文が苦手な母や妹などは、よくブツブツ文句を言っていました。

しかし、今読み直すと、祖父や祖母の言葉が文章で残っていることのありがたさに気づきます。

祖父母がどんな時代をどのように生きてきたのか。そのとき何を思い、どう感じたのか。子どもや孫たちに伝えたかった思いは何だったのか。

幼い頃にかわいがってもらった記憶が遠くなり、もう飲み交わすことは叶わない祖父ですが、祖父が残した本を読むことで、祖父の生き生きとした考えや思いに触れることができます。

 

「後に残すための文章」の準備を

時代は変わり、ブログやFacebookなどのツールが普及して、自分についての文章を書く機会は爆発的に増えました。

でも、日々書いている文はネットの海の中に次々と流れさっていきます。「後に残すための文章」のことは、日頃文章を書いている人も、きちんと考えてみる価値のあることではないでしょうか。

「自分史」といえば、祖父が作ったような、がっつり文章を書く「書籍」がかつては主流でした。でも今では、パソコンやWebを利用して写真や映像や音声と組み合わせるといった、文章を書くのが苦手な人も楽しんで取り組める、いろんなかたちの「自分史」の残し方があります。

一念発起してご自身で取り組むのもよし。還暦を迎える親に、子どもから記念の本を作って贈るのもよし。あるいは、60歳で本を出すことを目標に、もっと早いときからコツコツと「書く」勉強を始めるのもいいのではないかと思います。

 

「自分のことを文章に書く」ことに挑戦を

自分のことを文章に書くのは、編集者やライターのようなプロでも意外と難しいものです。でも、一番の問題は文章力ではありません。自分を見つめ、思い出を掘り起こし、記録を残そうとする自分自身の気持ちのありようです。

準備がととのえば、誰でも自分のことを語ることができます。なんといっても、世の中で自分のことを一番知っているのは自分なのですから。

書くことに意味があるのは、幸せな思い出ばかりではありません。辛かった体験、忘れたいような経験も、記憶と向き合って文章に書き出すことで、新たな意味を与えることができ、重い気持ちから解放されて浄化される気持ちを味わえたりします。

奥の深い「自分史」の世界。よろしければ、2月3日(水)東洋文庫アカデミアの講座に参加してみませんか?

眠った思い出を呼び起こし、書くための土壌を作るために、実際に筆記具を持って作業をする「ワーク」も予定していますので、ゼロの状態から、自分史の世界に一歩を踏み出すことができるでしょう。

 

講座概要

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「60歳をきっかけに考える『自分史・家族史』入門」

回数:全1回
開催日時:2016年2月3日(水)13:30-15:00
講師:宮野真有(自分史活用アドバイザー)
対象:「自分史」をかたちにすることに興味のある、ライティング初心者の方
開催場所:公益財団法人 東洋文庫
〒113-0021 東京都文京区駒込本駒込2-28-21
アクセス
駒込駅(JR山手線・東京メトロ南北線2番出口)徒歩8分
千石駅 (都営地下鉄三田線A4番出口)徒歩7分
上富士前(都営バス上58系統・茶51系統)徒歩1分

 
注意:
受講は、事前のお申し込みと受講料の支払いが必要です。
講座開始日より1週間前までに受講者が規定の人数に達しない場合は、講座は開講されません。その際は、受講料は全額返金されます。
ご興味のある方はどうぞお早めにお申し込みください。

 
【参考リンク】
東洋文庫アカデミア/60歳をきっかけに考える「自分史・家族史」入門(講座詳細)
東洋文庫/アクセス
東洋文庫アカデミア/お申し込み方法

 

【こちらもあわせてご覧ください】
2月の東洋文庫アカデミア「自分史」講座、申込受付中です。
1枚の写真、あるいは手書きの地図から、記憶のフタは開く。(一枚の自分史&マッピング自分史)

 


Information

「宮野真有の文章術レッスン」

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あなたの思いをかたちにする文章、お手伝いします。
対面で行う個人レッスンの受講希望者を募集しています。
都内にて随時。日時と場所は、ご相談の上で決めます。
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このブログを書いている人
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宮野真有(みやの・まゆ)

東京都練馬区在住。フリーランスのフォトライター。

「楽しんで」「長く続けられる」「自分らしさが発揮できる」文章を大切に、教える・聞く・書くなどの文章関連のサービスを個人向けに行っています。

またブログでは、「植物」×「写真」×「文章」の3つをキーワードに、ベランダガーデニングや公園散歩の楽しみを発信しています。

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