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2015-08-07

1枚の写真、あるいは手書きの地図から、記憶のフタは開く。(一枚の自分史&マッピング自分史)

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文章を書く前に大切なのは、まず知識と思考の土台作り。特に記憶や思い出を掘り起こすことは重要です。
「自分史フェスティバル」のプレイベントで、写真や地図を使った「自分史」ワークを体験してきました。

 

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8月6日(水)、大井町きゅりあんで開催された「自分史フェスティバル」のプレイベントに行ってきました。

映像&トーク/ワークショップ『戦後70年、私と家族の記録』
http://jibun-shi.org/events/event/150805sengo70nen/

自分の人生を振り返って書くのが「自分史」だとしたら、「自伝」や「私小説」とはどう違うんだろう? 何をどこまで書いたら「エッセイ」で、どう書けば「自分史」になるのか?

わかっているようであいまいな「自分史」というものを、改めてとらえ直したい、という気持ちもあって参加しました。

ワークショップでは、ふたつのワークを体験しました。

 

「一枚の自分史」は、1枚の写真から情景をよみがえらせる

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ひとつが「一枚の自分史」。思い出の写真を1枚持参し、それを元に文章を書く、というものです。

一枚の写真の中に登場人物がそろい、見えないものが見え、ドラマが浮かび上がる。撮影した年と場所を特定し、あるいは想像して、描写する。そこに、時代や社会とどのようにひもづくのかの情報をプラスする。

「自分史」として肝心なのは、この最後の1点です。これがあるから「自分史」になる、といわれて、なるほどと思いました。考え方としては、5年、10年、100年あとに記録として意味をなす書き方をすることが大事なのです。

その意味では、大切な写真をアルバムに貼って、撮影した日時、場所、写っている人、できれば撮った人を書き加える。それがミニマムな「自分史」のかたちのひとつです。

そこに文章で、写真には写りえない情報を書き加える。それがふくらむほど、読みでのある文章になる。

これを積み重ねていけば、本一冊分の読み物も完成する。

最初から「本を1冊書こう」というのは、とりとめのない膨大な作業に思えますが、こうして小さな作業の積み重ねと考えていくとわかりやすいですね。また、写真という記憶の手がかりがあるので、発想がとっちらからず、まとまった内容にしやすいという利点もあるなと思いました。

厳選した写真をアルバムに整理する、って、最近あまりしていません。自分の記録として、もっとちゃんとやってもいいのかなと思えました。

 

「マッピング自分史」は、地図を描いて記憶を掘り起こす

150806jibunshi_fes3もうひとつやってみたのが、地図を書きながら記憶を掘り起こす「マッピング自分史」のワークでした。

こちらは、ひとつのお題を決めて、記憶を元に地図を描きおこすというものです。

「子供の頃に住んでいた町」というお題をいただいたのですが、私、方向音痴の地理音痴で、描いてはみたものの地図がわやわやでした。

参加者の中には、「私、地図を描くのが好きなんです」といいながら、楽しげにペンを走らせていく人もいます。ま、まずい……!

思い出すことに集中すると、記憶がよみがえるというより、何度も夢に見た「夢の中の通学路」が浮かんできました。忘れたつもりなのに、不思議なことに夢の中で、昔通った道が出てきたりすることがあるんですね。それをたどって紙の上に書き出しました。

こんなおぼろな記憶でも、地図を描いていくと、「ここに、毎日会いにいく犬のナナのおうちがあった」「ヘビイチゴの空き地があって遊んだ」と、変に細かいことが思い出されてきます。

転校を繰り返した私は、かつての通学路をその後歩いたことがありません。記憶がおぼろなのを寂しく思いながら、ふと、そう遠くないあの町を歩いてみようかな……なんて気分になりました。

 

「自分史」は記録。それは記憶を呼び起こすことから始まる

ふたつのワークでは、書いて作業することで記憶がよみがえることが、実際に体感できました。

文章は、書きはじめる前の心の準備と、書きながら自分の中から言葉を引き出す集中力が必要ですが、「自分史」では特に「記憶」が鍵になります。

いかに具体的で生き生きとした記憶を、自分の中から引き出せるか。

中には、忘れていた方がよかったような、なまなましい感情や体験も思い出してしまうかもしれません。

でも、記録しなければ伝わらない。

なんだか、昨年来やっているブログやセルフブランディングとも通じるテーマだなと思いました。

自分がここにいる、いた、と声を上げる。それを、時を越えても伝わる言葉で書く。

そこに「自分史」の意義がありそうです。

そしてそれは、人生をふりかえる気持ちになったシニア世代の方たちはもちろん、上り坂の途中の若い世代にも、意味のあることなのではないかと思うのです。

 


Information

東洋文庫アカデミア「文章が苦手な人のための『自分史』入門」

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自分史を書くことは、自分という人間の棚卸しを行い、新たな自分を発見する作業であり、過去の歴史や過ぎ去った時代に関する学びや気づきも得られる作業です。ですが自分を客観的に見つめて文章を書くことは、ある程度文章に慣れた人でもなかなか難しいものです。この講座では、自分史を書きはじめる前に知っておきたい基礎知識について講義します。また、実際に手を動かして自分史年表を書いていただき、自分史執筆のきっかけを作ります。


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