セミの抜け殻は、1000年前からちょっと切ない。
初秋の公園で、セミの抜け殻を見つけました。
ドラマチックなセミの人生
セミの抜け殻は大抵、こうして草木に逆さまについています。
小さな固い殻を脱ぎ、体重をかけてぶらさがり、全力で自分の身を引きはがし、新しい立派な身体を得て、地中の生活から自由になる。劇的な変化です。
しっかりと草木にくらいついたツメは深く食い込んで、風雨にも落ちません。
夏に入ってセミがうるさいほど鳴き出したころには、セミの抜け殻は、膨大な命のエネルギーの象徴でした。
気温が下がって、セミの季節が終わりに近づきつつある今これを見ると、ひと夏の夢の名残みたいで、切なくものがなしい気分になります。
「空蝉」は、いまを生きる人間の意味も
でも、セミにとっては人間の感傷なんてよけいなお世話でしょうね。
そもそも、セミよりちょっと長生きなつもりの私たちだって、もっと長い時を生きる視点に立てば、短い夏を必死に生き急いでいる小さな虫のような存在ともいえそうです。
枕詞や夏の季語でもある「空蝉(うつせみ)」は、「現人(うつしおみ)」が転じたものだといいます。つまり、「この世の人。生きている人間」であり、「この世、現世」にも通じる言葉なのです。
こんなセンチメンタルな気持ちになるのは、1000年以上前からみんな同じとは、なんだか感慨深いですね。
このまま秋の長雨のシーズンになるのか、まだ台風がくるのか。異常気象は1000年前と同じとはいかないようです。
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・もしも人間の人生が、セミのようだったら。
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