植物オタク志願。(グリーンセイバー資格検定)
知は力。知はよろこび。
植物について改めていろいろ知りたくて、「グリーンセイバー」という資格検定に挑戦することにしました。
植物はもちろん自然や生態系について、さまざまな知識を身につけられる検定です。
「グリーンセイバー」とは
「グリーンセイバー」とは「緑を守る人」。平たくいうと、「ボランティア活動をやる上で、あると望ましい知識を問う資格検定」です。
植物についてもっと勉強したくて、植物に関する資格を調べていて、この資格のことを知りました。
グリーンセイバー資格検定は、特定非営利活動法人(NPO法人)の「樹木・環境ネットワーク協会」というところが主催しています。
試験の内容と難易度によって、ベイシック・アドバンス・マスターの3段階に分かれています。英検の2級・準2級・1級みたいなものです(たぶん)。
樹木・環境ネットワーク協会は1995年に設立され、2015年現在で20年の歴史を持っています。環境団体としては歴史の長い方で、現在全国に約600人の会員がいます。
理念として、「人と自然が調和する持続可能な社会」を目指し、人材を育てながら、森や里山を守る活動を、全国14カ所の里山を中心に行っています。
都内でも、小石川植物園や上野動物園、多摩動物公園などで、自然観察をしたり緑化活動のボランティア(植栽の手入れなど)を行ったりしています。
「グリーンセイバー」に興味を持ったきっかけ
では私は、これから草取りをしたりゴミを拾ったりというボランティアを始めたいのかというと、そんなことはありません。ベランダでちょこちょことガーデニングを楽しみ、公園を散歩して癒しをもらっていただけで、そこまで「社会のためのボランティア」に興味があるわけではありませでした。
では、なんのために検定を受けるのか?
植物に関する資格いくつかについて調べたときに、書店で販売されているそれらのテキストとなる書籍をパラパラと見比べてみました。
そのときに、自分が今興味のある分野に一番近いのが、グリーンセイバーだなと感じたんです。
身の周りの植物の「なぜ?」には、答えがあった
ブログを書きながら、近所の住宅地の植物を見て写真を撮っているだけで、この半年の間だけでもいろんな発見がありました。
- 植物の名前を知るには、季節によって姿が変わる植物の、どこを観察すればいいのか?
- 名前を知らない植物を図鑑で調べるには、どう引いたらいいのか?
- 学名って何? 「科」「目」っていう分類とは何? 同じ植物なのに、どうして時々まったく違う分類名が表示されているのか?
- 道ばたの花が、雑草だと思ったら園芸種だったっていうことが意外に多いんだけど、これはどういうこと?
- 誰かの庭でも花壇でもないところに、ものすごい勢いでランタナが茂りまくっているのはどうしてなのか?
- 全国の街中いたるところで見かけるイチョウが、絶滅危惧種っていうのはどういうこと?
- 桜の代表品種ソメイヨシノがすべて、1本の木から生まれたクローンってどういうこと?
「グリーンセイバー」の検定試験の勉強をすると、こういうことに対する答えが得られそうな気がしたのです。
そして今、上記の問いの回答は全部、私の頭の中にあります。
いやホントこれ、おもしろい。
植物好き、ネイチャー好きの皆さんにお勧めします!
「グリーンセイバー」無料ガイダンス
テキストをパラ見して興味を持った私は、まず無料のガイダンスに参加しました。
無料ガイダンスは、グリーンセイバー検定について知ることができる内容で、3月に東京・横浜・大阪で開催されました。私が参加したのは、2015年3月21日(土)に、横浜で開催されたものです。
「グリーンセイバーってどんなことを学ぶの?」
「取得した後どんな風に役にたつの?」
「どんな勉強をしたらいいの?」
という問いに応える内容になっています。
【プログラム】
◆グリーンセイバー(GS)とは何?
◆GS検定解説〜自然を“知る”よろこびと「傾向と対策」
◆GSトーク・「こんな活動やってます」& 質疑応答
このガイダンスで印象的だったのは、テキストを編纂された検定委員長の岩槻邦男先生(東京大学名誉教授)や、話をされた理事およびグリーンセイバーの先輩諸氏が、とても楽しげだったことです。
「自然を守る」とか「ボランティア」って、マジメで堅苦しい印象もあるんですが、話を聞いているとまったくそんな感じじゃない。好きなものについて語るとき特有の、穏やかで落ち着いていて、それでいて自然に笑みが浮かんでくるような、静かなる熱意を皆さん持っていらっしゃいます。
植物の話のネタとしてご持参くださった、グリーンセイバーの方が自然活動の中で集めた、「種子コレクション」の中の「ドングリコレクション」。すばらしい!
グリーンセイバーの方は、それぞれどのドングリが何の木のドングリか、わかっています。
夢の島熱帯植物館で花を見た、「実が固すぎて通常は開かず、山火事ではぜて種を飛ばす」という、オーストラリア原産のバンクシアの種もありました。種は絵や写真しか見たことがなかったので、現物を手にして感動。
話をする皆さんは、くりかえし「知は力」「知るよろこび」という言葉を口にされていました。これが、今「知る」ことに興味津々の自分の気持ちにフィットしました。
実際、このNPO法人が実施する自然観察のイベントやボランティアに参加するのに、グリーンセイバーの資格は別に必要ありません。
参加したい人は誰でも、ボランティアやフィールド活動は無料で、有料のイベントもそんなに高くない参加費を払うだけで参加できます。
資格試験は、むしろその主催者・指導者を育てるためのものなのです。
「グリーンセイバー」検定のための効果的な勉強法
このガイダンスで聞いた有意義な話がふたつありました。
まずひとつめが、体験者が語った「グリーンセイバー検定に合格するための勉強法」です。
テキストは、ベイシックとアドバンスそれぞれが、教科書っぽい1色刷りのB5判横書きで200ページ超。独学でも学べそうですが、かなり骨が折れそうです。
経験者に進められたのは以下の方法でした。
- 4月・5月に開催される有料セミナーを受講すること。独学より頭に入りやすい。
- さらにその上で、過去問題を解く。自分の理解度が確認できる。
- 資料として、フルカラーの高校生物の副読本を合わせて見るとわかりやすい。
- ベイシックとアドバンスは、同時受験ができるので、一気に勉強して、同時に受験して合格し、同じ年にマスターまで受けてしまったほうがやりやすい。
確かに。頭に急いで詰め込んだことほど、どんどん抜けてしまうもの。覚えがあります。
「グリーンセイバー」検定は収入アップにつながるか?
もうひとつ、聞きたかったこと。
この資格を得ることで、収入を得ることはできるのか?
これは残念ながら、基本的には「NO」。
無償のボランティア活動が中心で、収入はあまり期待できないとのことでした。これについては、「やはり生活に余裕のある人が参加するものなのか」と、ちょっと残念に思ったのも確かです。
当日の出席者もこれは問題点としてとらえていて、「改善していかなくてはと考えている」とのことでした。
講師や原稿執筆などにより、謝金が発生することも、時にはあるようです。
総合的に考えて、教わることのできる内容と、自然観察などの活動に興味を持ったので、勧められたように、まずはベイシックとアドバンス、両方の試験を受けてみようと決めて、テキストを購入しました。
高校生物で使用する副読本の例。私は書店でこれを買いました。有名教科書出版社、数社から出ています。
オトナもワクワクできる自然体験
無料ガイダンスでお話をしてくださった、樹木環境ネットワーク協会理事の中西由美子さん(右下)と、グリーンセイバーの先輩諸氏(上段左から久保重明さん、山本裕加さん、川瀬和江さん)。自然を知る講義の講師や、自然観察や自然に親しむ体験プログラムの企画運営をされている方々です。
受験を決めた理由は、やっぱり「楽しそう」というのが一番大きかったです。
大のオトナが、ドングリや種子のコレクションを宝物にしていたり、山で薬草を探したり、食べられる野草でおいしい天ぷらを作ったり、葉が落ちた木の冬芽を見定めてワクワクしている。
そんな中に一緒に入って遊ぶのって、楽しそう! と思ってしまったのでした。
そして、今知りたいことを知ることができるのなら、それだけでも絶対に損はしないと思えました。
無料ガイダンスを受けて、有料セミナーを受講しました。「グリーンセイバー」有料セミナーのレポートはこちらです。