文章を書くためのヒント004:削る。
文章が苦手で書きあぐねている人のために、「思いをかたちにする文章」を書くヒントをご紹介しています。
短い文章も長い文章も、ブログも小学生の作文もプロのライティングもスピーチ原稿も、「ミニマム」「広げる」「削る」の3つのステップで、きれいにまとめることができます。「書くのが苦手だなあ」と思っている人は、ぜひやってみてください。
今回のキーワードは「削る」です。
できるだけ文章を「広げて」いき、自分が本当に言いたいことまで届いた……と思ったら、今度はそれを推敲して、仕上げに向かいます。
読み返してみて、
- もっといい表現があったら、変更する。
- まちがった言葉の使い方があったら、正す。
- あいまいなところは、調べて確かめる。
- 言葉が足りないと思ったら、書き足す。
- 表現の矛盾をなくす。
- 言葉がダブっていたり、描写が無駄に多すぎたら、削る。
- 長過ぎる文があったら、分割する。
- 段落の順番を入れ替えた方が通りがいい箇所を、入れ替える。
- 誤字・脱字があったら、修正する。
などの作業をします。
「いや、推敲なんかしたって、そもそもそういうスキルもセンスもないんだから意味ないよ……」などと、面倒くさがらないでください。ざっくりでいいので、最低でも1度は見返します。そして、ひとつだけ覚えてやってみてください。
すごく大雑把にいって、推敲時に一番意識すべきなのは「削る」作業です。
「広げて」「削ったら」プラマイゼロに戻っちゃう……ではないのです。
いろんな言葉で表現しつくした上で、無駄な言葉を削っていくと、バレリーナの身体のような、あるいはボクサーの身体のような、引き締まった機能的で美しい、あなただけのオリジナルの文章になってきます。
「文章を書くためのヒント003:広げる。」で広げてみた次の文章を、「削る」を意識して推敲してみましょう。
梅の花が咲きました。ここから桜の開花まで、もう1ヵ月をきっているんでしょうね。桜の開花は、春のクライマックスだと私は思っています。ストイックな梅の花と比べると、桜の花は思いのままに咲き狂う華やかなエネルギーを感じます。その時期からほかの花もいっせいに咲き出す。本格的な春のスタートのきっかけが、桜の花の開花だと思います。
桜のイメージって、一言では語れない気がします。みなさんのイメージはどうでしょうか? ふんわりしたやさしいピンク色のふわふわしたあったかい感じ。満開のときに感じる、とてつもないエネルギー。あまりにきれいで、すごみがあって、どこか怖いような気持ちになることもあります。桜吹雪を舞わせてどんどん散っていくときには、せき立てられるような感じもします。和風のイメージもあるし、洋風にも合う。いろんな歌ではいろんなシチュエーションで歌われていて、すごくいろんなイメージがあると思えます。すごく不思議です。
桜の花で私がイメージするのは、明るい春の空の下で、みんなが笑顔になっているところを想像します。若いカップルも、小さな子どもを連れた親も、高齢のご夫婦も、ひとりで散歩している人も、老若男女誰もが桜の花を見上げるとき、ふんわりした穏やかな笑顔になる。こんなこと、ほかのどの花にもできないのではないでしょうか。桜は、春の花の王者です。
以下が、削った(最終段階まで推敲した)文章です。
梅の花が咲いて、桜の開花までもう1ヵ月を切りました。寒さに耐えて咲くストイックな梅の花と比べると、桜の花は華やかなエネルギーに満ちています。そんな桜に誘われるように、ほかの花もいっせいに咲き出すでしょう。こうなると初夏まであと少し。桜の開花は、春のクライマックスです。
桜のイメージは実に多種多様で、一言では語れません。やさしい桜色のやわらかさ、あたたかさ。満開のときに感じる、膨大なエネルギー。異界に通じるような幽玄のイメージ。どんどん散っていくのを見ていると、せき立てられるような感じもします。別れの季節でもあり、出会いの時でもある。あなたの桜のイメージはどれですか?
桜の花ときいて私の頭に思い浮かぶのは、明るい春の空の下で、みんなが笑顔になっている光景です。若いカップル、小さな子どもを連れた親、高齢のご夫婦、ひとりで散歩している人……。老若男女の誰もが、桜の花を見上げるとき、ふんわりした穏やかな笑顔になります。こんなふうに人々の心を照らせる花は、桜だけ。桜は、春の花の王者です。
ちなみに、2015年の東京都心の桜の開花予想日は、3月26日頃。満開予想は4月2日頃とのことです(2015年3月6日発表、日本気象協会)。
ブログ記事らしく、末尾に情報もちょっと足してみました。
推敲の一番の目的は、誰にとっても読みやすくわかりやすい文章にすることです。削っていくことで、自分の考えも整理され、より伝わる文章になります。
実際には「広げて」「削る」の作業を何十回となく繰り返して、文章は完成します。
「広げる」の段階でも、無駄とわかりきっている描写は、頭の中で削ります。また、「削る」の作業をしながら、「あ、この表現がいい」と、パッと言葉を足したり、入れ替えたりも。
“オリンピック選手”レベルに文章を書き慣れた人は、この作業をほぼ頭の中で終えて、一気に、かなり完成度の高い文章を書き上げます。それでも、「削る」作業がまったくいらないということはありません。そのままで結構いい文章だとしても、推敲すれば、必ずもっといい文章になります。
いい文章とは、より「伝わる」、より「読んでもらえる」、より「心に響く」文章です。
では、また。
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