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2016-09-21

家族の認知症(アルツハイマー)は、受け入れるまでが最初のヤマ。

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またまたドキッとさせるかもしれないタイトルで、恐縮です。毎年9月21日は、アルツハイマー病の啓蒙を実施する「世界アルツハイマーデー」だそうです。

多くの人にとって認知症は、「よく知らない」「怖い」病気だと思います。そこで、軽い認知症の家族を持つ身として、体験談を少し、お話ししてみたいと思います。

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父が軽度の認知症です

同居している79歳の父は、軽度のアルツハイマー型認知症です。74歳の母と、仕事で家を空ける時間の多い娘の私とで、生活の不自由なところを手助けしています。

父ができることは、日々、少しずつ少しずつせばまってきています。要介護2の認定を受けていますが、これは同時に抱えている心臓病のためでもあります。現在のところは、自宅で穏やかに日常生活を送ることができています。そのため、今はまだ、テレビで見るような「これぞ介護!」ということはしていません。

進行を遅らせる薬はできるだけ早めに

父がアルツハイマー型認知症だとわかったのは、約2年半前です。別の症状で通っていた病院で、看護師さんに「お父さん、もしかしたら認知症ではないでしょうか?」と、脳神経科の受診を勧められたのがきっかけでした。

以来、症状進行を抑制する薬「アリセプト」を服用しています。

2年前に家族で撮った写真を見ていると、このときより少しずつ、身体は衰えてきていると感じます。たとえば、家族で出かけて外食するのも、最近では難しくなりました。父の記憶は若干あやしく、同じことを何度もいうことが多くなり、今日が何月何日かわからなくなることもよくあります。

ですが、感情面では落ち着いています。最初に認知症を疑い病院に行こうとしたころは、不安や猜疑心が強い一面がありましたが、今はそれは落ち着き、穏やかに過ごしています。

認知症の症状進行を遅らせる薬は、少しでも早く飲み始めたほうがいい、と私は感じています。

家族が病気を受け入れるまでが、一番厳しい時期

うちは、父の認知症と心臓病が発覚したのがほとんど同時でした。それまで、高齢の父母ふたりともが冬にも風邪をひかないほど元気だったので、最初は「なんで、どうして」と本当に混乱しました。

最初に認知症で医者にかかる前には父が受診をひどく嫌がり、それを説得するのに、なだめたりすかしたり脅したり、親子3人で今までにないくらいぶつかりあいました。父とも言い合いをし、母とも言い合いをして、みにくいこともたくさん言いました。

ようやく受診しましたが、投薬が対処療法で、現代の医学で認知症を完全に治すことのできないことはわかっています。

これから父はどれだけ悪くなるのか? 私たちはどこまで面倒をみることになるのか?

母も私もそれぞれに悪いほうに考えて、自分の不安に押しつぶされそうになりました。また、そんな状態の母と私が、お互いにギスギスしたりもしました。

自分はこの頃が一番、気分的には悲壮感漂っていた気がします。

「病気は治るもの」「健康でいるのが普通」という考えを捨てて、「家族で一緒に、ずっと病気と向き合っていくんだ」と頭を切り替えることができたところから、状況は少しずつ変わり始めました。

認知症でも穏やかに過ごせる

最近の父は、何度も同じことを話すことが増えました。また、記憶や場所について記憶が混乱することも、少しずつ少しずつ増えてきています。

しかし、私も母も以前よりはそれにつきあうことが上手くなりました。何度でも根気よく話を聞きますし、父がまちがえたときには責めたりあきれたりするのではなく、なんでもないことのように笑って「ちがうよ〜」と言います。「じゃあ、どうしたいの?」と、父の意志を無視せず、できるだけ尊重します。ある意味、以前よりも父と会話することが増えました。

「頭脳」「機能」重視の母は、父をラジオ体操につきあわせたり買い物に連れ出したりして身体を鍛え、「今日は何日?」と、わからないことも考えさせるように仕向けて、脳を使わせようとします。

一方私は「わかりやすさ」「楽しさ」重視。父がもの忘れをしたり混乱したりすると、使うツールや表示を変えることで、不安やトラブルを減らせないかと考えます。また、暮らしの中で楽しみなことが少しでも増えるように、CDを聴くことを勧めたり、減塩でおいしいメニューを休日に作ったりもします。

現在、野菜と果物で作ったグリーンスムージーを毎日作って家族で飲んでいますが、これは父母が喜んでくれるのが、続いている一番大きな理由です。父が「おいしい!」と笑顔になってくれるのを見ていると、「この毎日が少しでも長く続きますように」と思います。

記憶があやふやになっても、感情は生きています。私と母が言い争いをしていると、父は隣で不安そうなイヤそうな顔をします。ときどき「まあ、そんなに言わんでも」とフォローを入れますが、その内容は的確です。私と母が楽しげに会話していると、直接関係ないことでも、横で聞いてにこにこしています。

「予防」と「介護」の間にある危機に、心の備えを

認知症の「予防」と、施設に入れるどうするというレベルの「介護」の間に、日常生活は送れているけれど、家族が気をつけている必要のある「プレ介護」ともいうべき時期があります。

家族も患者もシロウトのこの時期が、実は最初の難関ではないかと、自分の経験からも思っています。

父がかかっている心臓病の医師が、「患者とともに、家族もケアする」という視点の持ち主で、ずいぶん助けられました。

「病気になったら、患者も家族も、最初は誰でも〝初めて〟ですから」

そう言われて、「なるほど」と思いました。

患者と家族が病気に向き合うのも、患者の面倒をみるのも、誰もが〝初めて〟。
だから緊張しますし、アドレナリンも出ます。それがいい方に働くこともあれば、悪い方にも働きます。

そういう状態になる、ということを知っておくだけでも、厳しいその時期を乗り切れるのではないでしょうか。

家族が穏やかな気持ちで対応できることが、認知症の本人も落ち着いて穏やかになれる、一番の対処法だと思います。

 

【参考】
認知症・MCIの基礎知識(認知症ねっと) - エス・エム・エス
見つめて 触れて 語りかけて 〜認知症ケア“ユマニチュード”〜 - NHK

【こちらもあわせてご覧ください】
NHKドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」


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このブログを書いている人
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宮野真有(みやの・まゆ)

東京都練馬区在住。フリーランスのフォトライター。

「楽しんで」「長く続けられる」「自分らしさが発揮できる」文章を大切に、教える・聞く・書くなどの文章関連のサービスを個人向けに行っています。

またブログでは、「植物」×「写真」×「文章」の3つをキーワードに、ベランダガーデニングや公園散歩の楽しみを発信しています。

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