ベランダガーデニングのポイント001:水やり3年。
園芸やガーデニングにおいては、「水やり3年」という言葉があるそうです。水やりを3年続けて一人前、ということです。
今回は初心者の方むけに、水やりのコツをお伝えします。私もいろいろ試行錯誤しました! 「これで大丈夫」ということはないので、今も時々失敗しつつ、あれこれ試しています。参考になれば幸いです。
昨日の記事を書いていて、自分が「植物好き」といえるまでに、ずいぶん失敗を重ねてきたことを思い出し、ガックリしました。ミニバラ好きになるまでに5年以上は軽くかかっていますね。毎日の生活の中で植物に水をやっていた期間でいっても、確実に3年以上。「水やり3年」、納得の言葉です。
地面に植え付けた「地植え」の植物に興味がある方もいると思いますが、ここでは自分の経験から、鉢やプランターに植えた植物の話だけします。
植物は「生き物」です。……なんて、言わなくても皆さんおわかりですよね。だからこそ「枯らしたらイヤだな」とか「自分は苦手だ」と思うわけで、それって植物にやさしい考え方だと思います。
水やりはシンプルで、けれどとても奥の深いものです。適量を適切に与えれば、植物は見違えるほどいきいきと美しくなります。
気をつけるべきことは、以下の3点です。
- 水をやるときは、必ず鉢の底から流れ出るまでたっぷりと与える。
- 鉢ごと植物を手に持ち、その重さを手で覚えるとよい。
- 水をやるとき、そして毎日、できるだけよく植物を観察する。
以下、この3点について説明します。
Point 1:水をやるときは、必ず鉢の底から流れ出るまでたっぷりと与える。
これが鉢やプランターに植えた植物への、基本的な水の与え方です。
たっぷりと水をやると、水が鉢のすみずみまで行きわたるのはもちろんですが、さらに土の粒の間を水が通るのと同時に、空気を下へ押し出します。これによって、鉢の中の空気が入れ替わり、根の呼吸に必要な酸素が、土の中に入るという意味があります。
まだ乾いていない鉢に、ほかの鉢のついでに水をやるのはやめましょう。水分が多すぎると、根腐りなどの元になります。
室内に置いてある鉢の場合は、鉢の受け皿に水が流れ出てくるまで、十分水をやってください。受け皿の水があふれてしまわないよう、注意が必要です。受け皿にたまった水は、水の流れが止まってから捨ててください。ベランダや流しなどに鉢を移動してから水をやると、細かい気をつかわずにすんでラクチンです。
植物の「育て方」に、「土の表面が乾いたら、水をやる」「冬の水やりは控えめに」などとあったら、その「水やり」はすべて、この「鉢底から流れ出るほどたっぷり」だと思ってください。たとえば、「水やりを控えめにする」の場合、通常1日おきに水をあげていた植物に、もっと間を空けて一週間に一度ぐらい、やっぱり底から流れ出るほど与えます。
Point 2:鉢ごと植物を手に持ち、その重さを手で覚えるとよい。
植物を見るとき、初心者は土の上に出た部分だけを気にしがちですが、土の中、根っこまで含めて植物です。人間の内臓と同じくらい、見えない根っこは大切な働きをしています。
でも、見えない土の中のことをどうやったらわかるのでしょう? 土の中まで乾いたかどうか、どうしたら確認できるのでしょう?
それを知る簡単な方法が、手に持って鉢の重さを覚えることです。
まず、水をやる前に持ってみます。土が乾いているなら、比較的軽いはずですね。そして上記の方法でたっぷり水をやってから、もう一度同じように手に持ってみます。土が水を吸って、ずっしりと重くなっているはずです。
この、「軽い」「重い」を、手で覚えていればいいのです。
「見たところ、土の表面が乾いている気がする……」と思ったら、鉢を手に持ってみましょう。表面が乾いているけど土の中にまだ水分がたっぷりあったら、「重い」はずです。まだ水をやらなくてもいいでしょう。もしもひょいっと持ち上がったら、土の中まで乾いていて、水のやりどきということになります。
多肉植物などを「乾かし気味に育てる」場合は、この「持ったら軽い」状態のまま、水をやるまでの期間を1日〜数日、長めにとるようにします。また、「土の表面が乾いたら水をやる」と育て方にある場合は、水切れが苦手な植物ということになるので、指示通り、まだ鉢が重くても水をやります。
この「手で鉢を持ってみる」という方法を教わってから、私は自分の植物への水やりのことが、前よりよくわかるようになりました! オススメします。
Point 3:水をやるとき、そして毎日、できるだけよく植物を観察する。
上記の2点を守りながら水をやったら、あとは植物をよく観察することです。
水やりのときによく注意したら、水が土の中を通っていくときに、押し出された空気が土の表面に泡になって出てくる、「つぷつぷつぷ……」という小さな音が聞こえるでしょう。
適切に水をやったときと、水やりを忘れていて水切れを起こしてしまったときでは、葉っぱや芽がぴんときれいだったり、しなっと弾力がなかったりという違いがあるのがわかるでしょう。
なんとなく買ってきたときより葉っぱの色が悪くなってきた気がしたら、たぶんそれは気のせいではありません。窓辺で日光に当てていますか? 水切れを何度も繰り返して、弱ってきてはいませんか? 育て方をもう一度確認してみましょう。
すべてがうまくいって、植物が勢いよく成長を始めたら、早く成長する植物だと日に日に姿が変わります。緑の芽が伸びて開いて、葉っぱが茂っていったり、春を前に花芽がついて、それがしだいにふくらんでいったり。
この成長や変化を見るのが、植物を育てる上で何よりも楽しい、幸せを感じる瞬間です。自分が変わり者かと思っていましたが、花が咲いたときよりも、成長し、変化するところを見ているのが楽しいという人は、話してみると結構います。
また、そこまで植物に愛着を持たない場合でも、インテリアとして美しくいい状態を保てた方が、気分が上がるでしょう。葉っぱがピンとして色が濃く、つやつやして美しい状態を保とうと思ったら、やはり最低限の目配りは必要です。
新しい植物を入手したら、まず最初半月ほどは、上記の基本の3点に注意して、よく観察しながら水を与えてください。しばらく見ていると、「昨日水をやったのに、もうカラカラなのか」とか、「あれ、この土は意外と水もちがいいんだな。じゃあ次の水やりは明日でいいか」などと、大体の感じがわかってきます。
そうやって「このくらいでいいだろう」というペースがつかめたら、そのあとの水やりは少し気を抜いても大丈夫です。
犬や猫、小鳥に熱帯魚……ペットを飼う時、ペットの面倒を見て手間ひまをかけてやるのは、幸せそうな元気のいい美しいペットを見るのが、飼い主の幸せだからですよね。
植物も同じです。適切に水をやることで緑がいきいきと輝けば、「植物を育てる」楽しみを味わうことができるでしょう。
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