刻々と変わる姿。今までと違うものになっていく変化がおもしろい。(柿の落ち葉)
紅葉した落ち葉は、赤く輝き、乾いて砕けて土に還ります。
姿が刻々と変わっていき、どの段階も美しく、驚きに満ちている。
これまでにない変化に満ちた葉っぱの姿を見つめていると、役目を終えていくように見えて、そうではないことに気づきます。よく考えてみたら、どんな姿になっても存在意義がなくなることはないのです。
葉っぱは〝平たく〟はない!
「押し葉」にハマって気がつきました。
植物の葉っぱは〝平たい〟ものだと思い込んでいましたが、それはまったくの誤りでした……!
葉っぱは元々〝平たい〟もの。だから、押し葉にするために紙の間にはさみこむのも、なんの造作もありません。
最初はそう思っていました。
しかし実際には、軸から先端まで真っ平らな葉っぱは、むしろ珍しいのです。
薄いけれども立体的な形状
サクラの葉は、かなり薄くて平たいほうです。でもこの写真で見ても(左側)、葉の付け根から先端までが、立体的な曲線を描いていて、波打ったりねじれているのがわかるでしょう。
この葉っぱを押し葉にするためにはねじったり、押しつぶしたりする必要があります。元々のこの形状を知っていると、押し葉にしたサクラの葉は、「ぺっちゃんこ」の、元の姿からは変容した形であることがわかります。
そして、カキ(柿)の葉っぱ(右側)。
さらりと薄くて軽いサクラの葉に比べると、葉の組織がどっしりと分厚くて、裏に細かいビロードのような毛がなめらかに生えている。その風格は、さながら高級な絨毯のようです。
全体のかたちを見ると、ふっくらと丸みを帯びてところどころがふくらみ、波打っています。厚みがある分、押しつぶすのには困難がありました。
乾燥に伴い、姿を変える
無理に紙の間にはさんだところ、つぶした端のところが破れてしまいました。破れた葉っぱはきれいな押し葉にならないと思い、紙にはさむのをやめて、棚の上に置いておきました。
すると、びっくり。落ち葉は時間とともに、見てわかるほど姿を変えていくのです。
拾ってきて48時間ほど経った姿が、このページの頭にある写真です。
二番目の写真の右側のカキの葉の2日後の姿です。乾燥が進み、不規則にひきつれて波打ち、固く縮んでいます。
やわらかみのなくなった、しかし組織がくっきりとそのままに残っている表目の肌理は、まるでなめされた革のような光沢と美しさがあります。
変化は続き、ここで終わりということはない
落ちて、枯れていく葉っぱのこの、変容するどの瞬間も美しく、目を惹きつけるのが本当に不思議です。
乾ききった葉はやがて崩れ、破片になってかたちがなくなるわけですが、その変化さえおもしろいと感じます。
人の目に見えないところで、砕けて分解されて、ほかの生物を養い、葉っぱの存在意義は続いていきます。
「ただの落ち葉」「ただの枯れ葉」「ゴミ」と見て振り返らない人もいるでしょうが、この変わりゆく姿が、変わっていくからこそ瞬間瞬間に価値があり、興味深いと感じずにはいられません。
働きつづけた季節が終わり、役目を終えていくように見える時の在りようが、これまでにない変化に満ちていておもしろい……なんて見方は、うがちすぎでしょうか?
ゆっくりと下り坂を歩いているような今の自分の年代や、今後の時間も、意外なおもしろさに満ちているかもしれないじゃない? なんて思うのです。
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2015年12月13日(日)、かさこ塾祭りに出展します。
植物写真の展示、フォトブックなどの頒布を予定しています。よろしければお立ち寄りください。会場は東京都千代田区の「3331 Arts Chiyoda」、入場無料。出展者などの詳しい内容は、公式サイトおよび公式ブログでお知らせしています。
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