日曜日には、石神井公園の池でラジコンボートを走らせよう。
日曜日、都立公園・石神井公園には、精巧なラジコンの船を走らせる男たちがいるというウワサを聞いていましたが……。
いました。そして、ラジコン操縦させてもらいました!
週末。比較的近場の石神井公園まで散歩に出かけました。
石神井池では家族やカップルが、貸しボートを借りて水遊びを楽しんでいます。
あっちやこっちに、ボートがぷかぷかと……。
……ボート?
いや、あの三角の帆はヨット。
しかも、なんか大きさが……小さい!?
ビニールの帆を貼ったヨットは、無線で走るラジコン模型のヨットでした。
岸辺におじさんがいました。
背中のゼッケンに、「青いヨット 体験そうじゅう 1人10分 無料/ようちえん・小学生・大人」と書いてあります。この人が操縦者にまちがいありません。
「あの、すみません。あのヨット、今ここで操縦しているんですか?」
「そうですよ」
「よく走りますね。モーターで動いているんですか?」
「今は風だけで動いてますね」
「え? じゃあ、あんな小さいのに、ちゃんとヨットなんですね……」
「はい」
「あのう、操縦させてもらえますか……?」
「ええ、どうぞ」
何か勝手に、女子どもはお断りの男のロマン的な世界なのかなと思っていたのですが、全然そんなことはありません。
「今、船を戻しますねー」
風は1-2mというところでしょうか。涼しい夕方の風が吹く水面を、青いヨットはすいすいと戻ってきます。
水から引き上げてみると、結構大きい立派なサイズです。船体の長さは、60-70cmほどあるでしょうか。
ちょっと傾いたときに船内に入ってしまった水を、ポンプで抜いています。ヨットなので船のデザインはシンプルですが、小さくても船としての作りがリアルなのは、素人目にも見てとれます。
ヨットを操縦するのは、このコントローラーです。
「ここをつまんで、左右に動かしてください。右に動かすと右に曲がって、左に動かすと左に曲がります」
……なまじなゲーム機より、はるかにシンプルです。わかりやすい。
「これで、この船のどこが動くんですか?」
ハンドルの右左で動くのは、船体の後方水中に伸びている舵。これがパタパタと、右、左に回転して向きを変えます。すると船の進行方向が変わるという寸法。
コントローラーの上部にあるON/OFFスイッチを入れると、船尾の小さな小さなプロペラが回ります。通常は使いませんが、船を急いで戻すとき、風が弱いときなどに使うそうです。
船の大きさに対して、モーター、ちっちゃい!
本当は、ちゃんと帆もコントロールできるけれど、今はちょっと故障中だそうです。
いや、それにしても本格的。わくわくしてきました!
「あの、写真撮るんだったらこっちから撮ってください」
「???」
これは失礼しました……! ヨットにはかわいい乗客が。
世界でもっとも有名な猫型ロボットの妹さんじゃありませんか!
このキャラが好きなんです……と語るおじさんの目が、とてもやさしかった。愛です、愛。
「はい、どうぞ」
水面に押し出されたヨットは、ドラミちゃんを乗せてすーっとまっすぐ進んでいきます。動力源が風の力だけというのが不思議なくらい、気持ちよく進みます。
舵を切ると、右に、左に、結構自由に動きます。さすがに向かい風で前進するのは、ちょっときつそうでしたが。
「操縦できる」感覚って、楽しい。右に、左に、ギザギザ走行。よーし、360度、円を描いて回っちゃうぞー♪
次に待っている方もいなかったので、たぶんたっぷり10分くらい遊ばせていただきました。
最後に、背中のゼッケンの写真をお願いすると、快く撮らせてくれました。
このゼッケンを見かけたら、声をかけてみてください。ラジコンの楽しさに触れることができますよ。
石神井公園でラジコンボートを楽しんでいる皆さんは、「SRBC 石神井ラジコンボートクラブ」というクラブの方々だそうです。
池でのラジコンボート遊びにはルールとマナーがあって、活動は日曜日のみ、大きな音は立てない、あまり速度の速い船は走らせない……などの決まりを、皆さん守っているとか。
公園の利用者に迷惑をかけないというだけではなく、石神井公園という公共の場所でラジコンの楽しさを広く伝えたいというのがクラブの趣旨で、そのため、初めての人にも操船体験をさせてくれることもあるようです。
今、無線といえば無線LANとかWifiですが、40年前、私が子どものころに無線といったらハム(アマチュア無線)かラジコンでした。
今回、初めて手にしたコントローラーは本当にシンプルな機械で、なんか、なんか……鉄人28号のコントローラーがなんであんな驚異的にシンプルなかたちをしていたのか、わかった気がしました。
これだけシンプルな装置でいろいろできるっていうのが、すごいことなんだなと。
当時の子どもたちの夢でもあったでしょうが、ゲーム機だのスマホだの、複雑な機械があふれている今見ると、また別の意味で魅力的に感じます。
サイトを見ていたら、すごいクオリティの船がたくさん……!
こんな風に、趣味を公共の場で発信できて、それが公園に来る人も楽しませているのって、すごくいい。
日曜に石神井公園に行く楽しみがひとつが増えました。日を変え、時間を変えたら、いろんな船が見られることでしょう。
都立 石神井公園
所在地
練馬区石神井台一・二丁目、石神井町五丁目
開園時間
24時間
料金
入場無料
アクセス
西武池袋線「石神井公園」下車 徒歩7分
西武新宿線「上井草」より長久保行きバス「三宝寺池」下車、石神井公園行きバス「石神井公園」下車
ひとこと
三宝寺池、石神井池のふたつの大きな池を中心とした、地元住民の憩いの場。水辺の風景は四季折々に美しい表情を見せてくれます。貸しボートあり、ランニングやペットの散歩でにぎわう舗装された遊歩道あり、高い木々が生い茂る緑濃い林ありと、池に沿って歩くだけでさまざまな水辺の風景を楽しむことができます。高木や花木、草花が生い茂り、野鳥、昆虫もゆたかに生息。また、石神井城跡などの遺跡もあります。
池での釣りは禁止されています。日曜日に池周辺で釣り竿を持った人がいたら、それはたぶん、低く垂れた木の枝に引っかかったラジコンボートを回収するために釣り竿を持参している、ラジコンボートの愛好家でしょう。