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2016-09-18

「自分史」が書きにくい理由、それでも書きたい理由。(一枚の自分史)

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「自分史フェスティバル2016」で、「一枚の自分史」考案者の河出岩夫さんが講師を務める「一枚の自分史ワークショップ」に参加してきました。

これは、思い出の写真1枚から記憶をよみがえらせ、短い自分史を1本書くことを体験するものです。

自分がやっている「自分史入門講座」でも、このワークを参加者にやってもらっています。今回、久々に自分が書く立場になってみました。

今回のワークでは、書くために与えられた時間は15分。周囲の参加者は、構成用のメモを書き、冒頭の文章を書き始めたところまでの方が多く、「なかなか書けないものですね」と感想を述べておられました。

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「自分史」はなぜ書きにくいか?

自分のことを書こうとして、「意外と書けないぞ?」という方は、多いと思います。

漠然と「自分は文章が苦手だから」と思うかもしれませんが、それはざっくりしすぎです。文章がうまい下手以前に、書きにくい理由があるのです。

  1. 自分のことは、自分自身が一番わかっていないから。
  2. なのに、なんとなくわかっているような気になっているから。
  3. 書きたいことへの思いが大きすぎて、まとまらないから。

主にこんなところです。これを意識するだけで、むやみやたらな苦手意識はなくなるかもしれません。

自分のことは、自分自身が一番わかっていない?

自分自身を客観的にとらえることは、難しいものです。

物理的にも、人の目は身体の外側についていますから、自分自身を見ることはできない。自分を見るためには、鏡や写真といったツールをつかって、像を反射させて「見る」しかありません。

自分についての文章を書くということは、心の目で自分自身を見るということ。ですからここでも、鏡や写真のようなものが必要になります。

自分のことはわかっているつもりなんだけど……

自分について書くためにはまず、時系列で事実をつらねた「年表」や「データの記録」は、基本として必要でしょう。
「いつ、何年何月に、こういう事実があった」
「そのとき自分は何歳だった」
これを書き出していくだけでも、自分の記憶が結構あやふやだということがわかります。

そして有効なのが、家族や友人知人に、自分について話を聞くことです。
「あのときこんなことがあった」
「あなたはこんなふうだったわよ」
「それを見て私はこう感じた」
話を聞くことで、自分の記憶が強化され、あるいは修正され、刺激を受けて忘れていたことを思い出したりもします。

あれもこれも書きたくてまとまらない!?

思いが強すぎて文章がまとまりにくいときは、題材を小分けしていくことが有効です。ブログの記事と一緒です。あれもこれもと詰め込むと、時間がかかる上、書き終わらないし、読みにくい。

ときには「書かないこと、切り捨てること」が、わかりやすくて印象の強い文章になります。

それでもなぜ「自分史」を書きたいのか

文章を書くということは、手間暇のかかるものです。でもだからこそ、伝わり、読まれることに喜びがある。

「一枚の自分史」ワークショップに来ていらっしゃる方たちは、自分史や自分の本を書くことに興味を持っている方たちです。

自分にとって大切で、書き残したいものがある。それを何らかのかたちで残したい。そう思って、こういう場に来ていらっしゃるのでしょう。

懐かしい思い出、大事な時間、数年後にはもうないであろう現在、がんばってきた自分の歩み……などなど。

私が選んだ1枚の写真は、2年前に両親と撮った写真です。楽しかった思い出でもあるけれど、父の身体が弱ってきた今、もう一緒の遠出はできないので、少し切なくもある。そんな気持ちを書きました。

放っておくと流れて消えていってしまうものだからこそ、手間をかけてでも「改まって書いておきたい」という気持ちもあるでしょう。

その気持ちが、「自分史」の原点だと思います。

「1枚の自分史」ワークがおすすめの理由

自分で書いてみても、人に勧めてやってもらっても、この「一枚の自分史」ワークは、とてもいいと感じています。理由は、上で書いた「自分について書きにくさ」を、このワークでクリアできるからです。

  1. 写真を見ることで、自分や自分の家族を「客観視」できます。
  2. 写真を中心に、自分が知っている情報・知らない情報を切り分けて考えることができます。
  3. 写真のシーンを中心に事実を切り取ることで、話題をミニマムにしぼることができます。

そして何より、このワークで「ひとつのテーマについて書き終える」ことを体験することができます。講師の河出さんも、「ひとつ書きあげることが大切です」と言っておられました。

「100枚の自分史」をご覧ください

「自分史フェスティバル2016」の会場(日本橋三越本館7F・はじまりのカフェ)では、「一枚の自分史」が100枚集まった「100枚の自分史」を展示しています。写真と文章の力、個人の体験談の力を、感じていただけると思います。Webで読むブログなどとは違った「伝わる力」です。9月20日(火)まで。お近くにおでかけの方はぜひお立ち寄りください。

「100枚の自分史」展示

「100枚の自分史」展示

 

「自分史」を気軽に体験し、記憶を蘇らせ、書くことの楽しみを感じていただける「一枚の自分史」ワークショップは、今後も折々に実施していく予定です。くわしくはその都度このブログでお知らせしていきます。

 

【こちらもあわせてご覧ください】
日本橋三越本店で「自分史フェスティバル2016」開催中です。
自分をふりかえる・知る・つながる。「自分史」は未来への道標。
自分に自信がないからこそ、自分史を書いてみるという選択。
自分史は「心のわが家」、自分が落ち着けるよりどころ。
50年前に、60歳をきっかけに祖父が作った家族本は宝物。(自分史)


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このブログを書いている人
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宮野真有(みやの・まゆ)

東京都練馬区在住。フリーランスのフォトライター。

「楽しんで」「長く続けられる」「自分らしさが発揮できる」文章を大切に、教える・聞く・書くなどの文章関連のサービスを個人向けに行っています。

またブログでは、「植物」×「写真」×「文章」の3つをキーワードに、ベランダガーデニングや公園散歩の楽しみを発信しています。

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